相続土地国庫帰属の申請却下事由、不承認事由を施行令を踏まえ列挙し解説。
今回は、相続したが不要となった土地を国に引き取ってもらう相続土地国庫帰属制度の申請却下事由、不承認事由を制定された施行令を踏まえて解説します。
なお、相続土地国庫帰属申請書及び添付書類についてはこちらを、審査のポイントと申請上の注意点についてはこちらをご覧ください。
相続土地国庫帰属の申請却下事由
相続土地国庫帰属申請では、申請をすることができない場合が法令で規定されています。つまり、申請をしようとする場合は、その申請できない場合(却下事由)に該当していないことを確認する必要があります。
制定された施行令を踏まえて、申請却下事由に該当する土地を整理し列挙すると、以下のようになります。
相続時国庫帰属申請ができない土地
- 建物の存する土地
- 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
- 墓地、境内地、及び現に通路・水道用地・用悪水路・ため池の用に供されている土地
- 土壌汚染対策法に規定する特定有害物質(基準を超えるもの)により汚染されている土地
- 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地
相続土地国庫帰属申請の不承認事由
相続土地国庫帰属では、帰属を承認することができない場合が法令で規定されています。申請に際しては、その不承認事由に該当しないことを確認しておく必要があります。
制定された施行令を踏まえて、不承認事由に該当する土地を整理し列挙すると以下のようになります。
相続土地国庫帰属申請が不承認となる土地
- 崖(勾配が三十度以上であり、かつ、その高さが五メートル以上である)がある土地のうち、その通常の管理に当たり過分の費用又は労力を要するもの
- 土地の通常の管理又は処分を阻害する工作物、車両又は樹木その他の有体物が地上に存する土地
- 除去しなければ土地の通常の管理又は処分をすることができない有体物が地下に存する土地
- 他の土地に囲まれて公道に通じない土地であって、公道に至るための囲繞地通行権の行使が妨げられている土地
- 池沼、河川、水路若しくは海を通らなければ公道に至ることができない土地であって、公道に至るための囲繞地通行権の行使が妨げられている土地
- 崖があって土地と公道とに著しい高低差がある土地であって、公道に至るための囲繞地通行権の行使が妨げられている土地
- 所有権に基づく使用又は収益が現に妨害されている土地(その程度が軽微で土地の通常の管理又は処分を阻害しないと認められるものを除く。)
- 土砂の崩壊、地割れ、陥没、水又は汚液の漏出その他の土地の状況に起因する災害が発生し、又は発生するおそれがある土地であって、その災害により当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体又は財産に被害が生じ、又は生ずるおそれがあり、その被害の拡大又は発生を防止するために当該土地の現状に変更を加える措置(軽微なものを除く。)を講ずる必要があるもの
- 鳥獣、病害虫その他の動物が生息する土地であって、当該動物により当該土地又はその周辺の土地に存する人の生命若しくは身体、農産物又は樹木に被害が生じ、又は生ずるおそれがあるもの(その程度が軽微で土地の通常の管理又は処分を阻害しないと認められるものを除く。)
- 主に森林として利用されている土地のうち、その土地が存する市町村の区域に係る市町村森林整備計画に定められた基準に適合していないことにより、当該事項に適合させるために追加的に造林、間伐又は保育を実施する必要があると認められるもの
- 所有権が国庫に帰属した後に法令の規定に基づく処分により国が通常の管理に要する費用以外の費用に係る金銭債務を負担することが確実と認められる土地
- 法令の規定に基づく処分により承認申請者が所有者として金銭債務を負担する土地であって、所有権が国庫に帰属したことに伴い国が法令の規定により当該金銭債務を承継することとなるもの
以上、相続土地国庫帰属の申請却下事由、不承認事由について列挙して解説しました。
相続土地国庫帰属申請については、豊中司法書士ふじた事務所にご相談ください。