相続登記を申請する際に確認すべき名寄帳と登録免許税の計算について解説

今回は、相続登記を申請する際に必ず確認すべき名寄帳と、登録免許税の計算の注意点について解説したいと思います。

名寄帳とは?

名寄帳というのは、各市町村に備え付けられている、人ごとに編綴されたその市町村内で所有する不動産の一覧表(リスト)になります。

名寄帳は、固定資産税の課税のために作られた台帳であるということは、重要な前提知識になります。

例えば、豊中市に住む甲さんが、豊中市内に自宅の土地建物と畑を持っていたとします。

豊中市役所に申請して、甲さんの名寄帳を取得すると、甲さんが豊中市内に所有している不動産が一覧表になっていて、固定資産税の計算の根拠となる不動産の評価額などが分かるという訳です。


名寄帳には、土地の所在、地番、地目、地積、建物の種類、構造、床面積のほかに、固定資産税上の評価額、課税標準額などが記載されています。

地積や床面積については、登記上の数値と固定資産税の課税上(名寄帳)の数値が異なることも多いです。市町村によっては、併記してくれている場合もあります。

土地の地目や附属建物についても、登記上のものと固定資産税課税上(名寄帳)のものが異なる場合がありますので、要注意です。

相続登記申請時に名寄帳をチェックする理由は?

司法書士事務所に相続登記のご相談が持ち込まれた際には、相続登記が必要な不動産を権利証などでお示し頂くことになるのですが、申請すべき不動産が漏れている場合があります。

最も多いのは、分譲地などの位置指定道路が共有になっている場合や、前面道路が共有私道になっている場合に、その共有持分の相続登記を忘れるケースです。

漏れた物件については、後から相続登記をすればいいような気もしますが、遺産分割協議を経ている場合には、登記が遅れると差押えなどにより所有権を取得できないリスクがありますから、速やかに登記をすべきです。

また、後日登記を申請するようなことになると、司法書士報酬が2回分かかってしまい不経済です。


上記のような不都合を回避するために、弊所では、相続登記の際には、必ず名寄帳を確認して対象物件の漏れがないかを確認しています。

豊中市の場合は、固定資産税の課税明細(毎年5月に郵送で届くもの)の記載が、名寄帳と同じく非課税の私道なども網羅していますので、課税明細の確認で代替することもできます。

相続登記の登録免許税の計算方法

相続による所有権移転登記の登録免許税は、固定資産税上の評価額に0.4%を乗じて計算することになります。(細かい端数処理については割愛します。)

課税標準は、あくまで評価額であって、固定資産税の課税標準ではないことに注意してください。

名寄帳の内容の時点からのタイムラグには注意

名寄帳の記載内容については、原則として、毎年1月1日時点の不動産の現況、評価額となっています。

一方で、不動産の登記については、何か変動があれば随時申請されて変更されていくものですから、上記の名寄帳の内容と齟齬を来す場合があります。


例えば、名寄帳での地目が畑で評価額が20万円の土地があったとします。この畑が農地転用されて5月1日に宅地に地目変更登記がなされました。

その後同年6月1日に所有者が死亡して相続登記を申請することになった場合の相続登記の登録免許税の計算が問題になります。

この場合、農地が宅地に造成され、土地としての価値は大幅に上昇しているものの、固定資産税上の評価(名寄帳)には反映されていません。

相続登記を申請する際には、近傍宅地の単価から、農地転用された対象土地の単価を算出して、登録免許税を納めることとなります。

詳細な計算については、弊所司法書士にお任せ頂ければ安心です。




以上、相続登記の際の名寄帳のチェックと登録免許税の計算の際の注意点について解説しました。

相続登記や遺産分割協議については、豊中相続相談所(豊中司法書士ふじた事務所)にご相談ください。

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